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VRミュージックビデオのレトリック ③ ドライブ型

今回の記事は、ドライブ型のVRミュージックビデオのレトリックを説明します。

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VRミュージックビデオのレトリック ③ 『ドライブ型』


ドライブ型』のVRミュージックビデオは、特定のアーティストやオブジェクトを被写体としていません。ドライブ型では、ビデオの全編にわたって画面がスクロールしているのです。画面がスクロールしているように感じられるのは、正確に言えば、カメラが絶えず移動しているからです。

以上のような映像技法にドライブ型という名前を付けたのは、この技法を使うと動画に疾走感=ドライブ感が生まれるからです。そのため、ドライブ型の演出が使われている楽曲は、音楽性が似ているように思われます。いわゆるドライブ感のある楽曲、さらにはテクノサウンドはドライブ型の演出に合います。反対に、エモーショナルなバラードは、ドライブ型の演出には不向きでしょう。

実のところ、ドライブ型のミュージックビデオはVR動画だけではなく、伝統的ミュージックビデオにも見られるものです。例えば、capsuleの《WORLD OF FANTASY》は、ほぼ全編にわたってドライブ型の演出がなされています。


ドライブ型の演出において、伝統的動画とVR動画を分つポイントは、視線誘導の有無です。VRミュージックビデオにおいては、以前のVR劇動画を論じた記事で採り上げたカメラドリー誘導が発生しているのです。

カメラドリー誘導とは、VR動画における表現技法のひとつで、カメラの向きを変えることによって視聴者の視線を誘導することを意味します。ドライブ型のVRミュージックビデオでカメラドリー誘導が使われると、視聴者は自ずとからだを旋回させて、カメラの進行方向と視線を一致させようとします。無論、視線誘導に逆らって同じ方向を見続けることも可能ですが、誘導に逆らうと面白みのない映像を見つめ続けなければなりません。

Squarepusher • ‘Stor Eiglass’ • YouTube 360



Squarepusher の《Stor Eiglass》は、典型的なドライブ型のVRミュージックビデオです。動画全編にわたりカートゥーン調のアニメーションが、カメラドリーによって映し出されています。楽曲の音楽性とドライブ型の演出に特有な躍動感が非常にマッチしているVRミュージックビデオになっています。

Hello Sleepwalkers 《【360°MV】ハーメルンはどのようにして笛を吹くのか 》



Hello Sleepwalkers の《【360°MV】ハーメルンはどのようにして笛を吹くのか》は、ドライブ型に演出された作品のなかでも、特異な特徴を有しています。通常ドライブ型のミュージックビデオでは、(おそらくは移動距離の長いVR撮影が物理的に困難であるという理由から)CG映像あるいはアニメーションを作品のベースとしています。

《【360°MV】ハーメルンはどのようにして笛を吹くのか》は、実写された新宿を多重露光したような映像がベースとなっています。さらには、視線誘導をカメラドリーだけではなく文字として視覚化した歌詞によっても行っています。

ちなみに、CGと視覚化された歌詞を組み合わせたドライブ型のVRミュージックビデオには、Luke Bryanの《Home Alone Tonight (Lyrics) - 360 Video ft. Karen Fairchild 》があります。


Icky Blossoms《Phantasmagoria (360° video) 》



Icky Blossomsの《Phantasmagoria (360° video) 》もまた典型的なドライブ型VRミュージックビデオです。CG映像をベースとして、カメラドリーによる視線誘導も挿入された作品となっています。視聴者は、ミュージックビデオを見終わるまでに、何度もからだを旋回させることになります。

ドライブ型のVRミュージックビデオは、CGが動画のベースとなっていることが多いという特徴のせいか、ともすれば似たような雰囲気の映像作品になりがちです。しかし、伝統的ミュージックビデオの歴史を鑑みれば、ドライブ型VRミュージックビデオにも多くの未踏の地があることは明白です。例えば、伝統的ミュージックビデオであるbjörkの《jóga》にインスパイアされてVR動画を制作するとなると、どのような作品になるでしょうか。
《jóga》には、パノラマ型に発展する雄壮さもありますし、ドライブ型と共通する疾走感も備えています。


次回の記事では、トラディショナル型のレトリックを解説します。

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吉本幸記

Author:吉本幸記
元エンジニアのフリーライター。テクノロジー系の記事を執筆している。アートにも関心がある。美術検定3級取得

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